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メシマコブ
中村友幸 河岸洋和
『きのこの生理活性と機能』 2005年10月 シーエムシー出版より抜粋・要約
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今回紹介させていただくメシマコブに関して、十分な科学的裏づけを有するために、
まず国内で採取した野生メシマコブの遺伝子解析を行い、メシマコブであると同定
した後、各系統間におけるここの野生株の特性をより明確に把握するため、分子
レベルでの比較として、地理的に離れた自然集団におけるメシマコブのミトコンドリア
DNA(mtDNA)での制限酵素断片長多型(RFLP)解析を行い、遺伝的変異性の調査、
およびメシマコブ種内の個体群分けを検討した。
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12種類(ヒメマツタケ、マイタケ、マンネンタケ、ヤマブシタケ、シイタケ、ハタケシメジ、
ホンシメジ、カンゾウタケ、ヌメリスギタケモドキ、エリンギ、ナメコ、メシマコブ)の
キノコ菌糸体培養成分を用いたスーパーオキシド消去活性(※1)を調査した結果、
メシマコブに最も高い消去活性が認められた。
さらに詳しく調べたところ、抗酸化物質として知られているビタミンCの約2倍の
消去活性をもつと示唆される“caffeic acid”と呼ばれる成分を取りだすことができた。
高等菌類であるキノコ菌糸体からこの成分を発見したことは初めての成果である。
この“caffeic acid”は、メシマコブにおける薬理作用の一役を担っていると考えられる。
また、ヒドロキシルラジカル消去活性(※1)についても、最も高い消去活性を示した
ヤマブシタケに並ぶ値が認められた。
以上の結果から、メシマコブ菌糸体成分中には、約9割以上の疾病の原因として
報告されている活性酸素種の害から生体を防御するための抗酸化成分が豊富に
含まれており、摂取による各種の疾病に対する予防効果の可能性が示唆された。
※1 (〜)消去活性
食品が持つ活性酸素除去能力の大きさの目安。
なお、スーパーオキシドとは人体で最も大量に発生する活性酸素の一種であり、
毒性は比較的弱いものの、ヒドロキシラジカル等の毒性の強い活性酸素に変化する可能性が高い。
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アトピー性皮膚炎を自然発症するマウスに、メシマコブ菌糸体熱水抽出物と
培養濾液の2種類に分けて経口投与した結果、血中IgE値の抑制作用、
ヒスタミン遊離抑制作用の2つのアレルギー症状抑制作用が認められた。
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固形がん移植モデルマウスを、菌糸体熱水抽出成分と培養濾液による動物試験を
行った結果、メシマコブ菌糸体の多くの成分において、大幅な免疫機能の上昇と
高い抗腫瘍活性を示した。
さらに詳しい成分調査により、特に“α-1,3-グルカン”を主要成分とする糖タンパク
複合体に、最も高い抗腫瘍活性率が認められた。
また、ヒト骨髄性白血病由来細胞(HL-60細胞)を用いての、細胞増殖抑制及び
アポトーシス誘導能の有無を、顕微鏡観察によるDNA断片化の有無により確認した後、
動物実験と同様の成分調査を行ったところ、抑制効果の中心成分ではないものの、
糖タンパク成分においても増殖抑制及びアポトーシス誘導が確認された。
上記2種類の実験結果の関連性の裏付けを、今後さらに調査する予定であるが、
主要成分が糖タンパクである成分にも直接的な細胞増殖抑制が示されたことは
興味深い。
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